左から:島野様、今中様、八谷様
ショーワグローブ株式会社 様
人事部
部長 島野 淳 様
今中 結菜 様
マーケティング部
課長 津田 智子 様(女性活躍推進・DEIB推進プロジェクトリーダー)
広報部
八谷 美笛 様(DEIB推進プロジェクトメンバー)
※取材当時の部署・役職
- アドバイザリーパック
- 調査・コンサルティング
- 研修・講演・セミナー
ショーワグローブ株式会社様(本社・兵庫県姫路市)は、家庭用手袋から、さまざまな現場で使用される作業用・産業用手袋を製造・販売される専業メーカーです。日本および世界各地に拠点を構え、「世界中の手を守る」を合言葉に、技術と品質を追求し続けてきました。多様な社員が、性別や国籍、自身を取り巻く環境の変化に左右されることなく、いきいきと働き続けられる職場づくりを通じて、企業活動の生産性向上と持続的な成長を目指していらっしゃいます。
DEIB推進の最初の一歩は、決して容易ではありません。社内に課題感はあっても言語化できず、施策を考えても実行に移しきれない。ショーワグローブ株式会社様も、まさにそのような状態から取り組みをスタートされました。
同社の歩みは、段階的なプロセスをたどっています。
- 2024年度【女性活躍推進】
従業員意識調査で実態を可視化し、女性活躍推進プロジェクトにて課題整理から経営層への提言までを実施 - 2025年度【DEIB推進/施策実行】
DEIB推進プロジェクトに移行し、4つの分科会(DEIB/両立支援/キャリア/働き方)にて施策を具体化。階層別の研修(心理的安全性・アンコンシャスバイアス)の実施 - 2026年度【DEIB推進/全社浸透・定着】
KPI設定にも挑戦しながら定着と推進者づくりを加速中
本記事では、その3年間の歩みを「何が課題で、どう突破し、何が変わったのか」を、皆様の言葉とともに振り返ります。
出発点は「課題があるのに説明できない」というモヤモヤ
取り組みの出発点にあったのは、制度の不足ではなく「見えにくい違和感」でした。長らく画一的な同質組織であったことから、異なる視点や発想が生まれにくいことへの危機感があり、多様性に対する全社員の理解を深める必要性を感じていたといいます。
取り組みを始めたきっかけや、弊社サービスの導入前に感じていた課題感について教えてください。
今中様ショーワグローブでは制度面の整備が進んでおり、「人を大事にする会社」という風土はありました。しかし、「誰にどのような事情や背景があるのか」という点については、どこか他人事になっており、その方の立場になってあまり考えられていなかったように思います。
また、女性が多く活躍している会社(従業員に占める女性比率:約37% /2025年12月時点)ではあるものの、管理職の女性比率は11%と低い状態でした。そのため女性がどのようなキャリアを描けばよいかが見えづらくなっていた点も課題でした。
制度を見直すというよりも、考え方や会社としての方向性を変えていくことが、これから企業が長く発展していくために必要ではないか。そうした問題意識から、当時の社長の発信で取り組みが始まりました。
津田様当時は、なんとなくモヤモヤを感じながらも、うまく気持ちを表現できずにいました。プロジェクトに参加し、wiwiwのコンサルタントからさまざまなインプットを受ける中で、「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。たとえば、海外出張や視察などの機会に対して「自分も挑戦してみたい」という想いがあっても言い出せなかったり、いつか順番がくるのかなと自分の中で片付けてしまうなど、違和感や葛藤を言語化できずにいたんです。
それが、ジェンダーギャップの構造や女性活躍推進の枠組みを教えていただいたことで、「これが機会の平等ということなのか」と理解できました。
2024年度:意識調査で課題を可視化する
この状況を組織の課題として捉えるために、まず取り組んだのが実態の可視化でした。
(wiwiw「女性活躍推進アドバイザリーパック」を活用)
初年度の取り組みについて教えてください。
島野様まずは実態を把握するため、従業員の意識調査をお願いしました。実感と大きく変わらない部分もあれば、意外な気づきもありました。特に、女性が考えていることと男性が考えていることに大きなギャップがあると可視化できたのは印象的でした。
課題を特定しつつ、プロジェクトメンバーの女性社員6名で議論を重ね、会社としてどのような方向に進むべきかを考えたのが初年度でした。
八谷様たとえば、女性の自信の低さが顕著に表れていました。いわゆる「一皮むける経験」や、そうした機会が与えられるかどうかが、自信につながる重要な要素であるといことは、今振り返っても深い気づきでした。
このフェーズで得られた現状分析やアクションプランといった成果物は、経営会議への提言としてまとめられ、正式に了承されました。この実績が社内で高く評価され、翌年度のDEIB推進プロジェクト立ち上げにつながっていきます。
2025年度:DEIBへ拡張。停滞と、乗り越えた転機
自社の課題の深掘りや他社事例に触れる過程で、ショーワグローブ様は「女性に限らず、多様な背景を持つすべてのメンバーが力を発揮できる組織」へと視野を広げ、2025年度に取り組みを「DEIB推進」へと拡張。プロジェクトメンバーも増員し、男女混成9名+事務局4名、4つの分科会(DEIB/両立支援/キャリア/働き方)体制でスタートしました。
(wiwiwはプロジェクトの伴走支援として参画)
御社の取り組みでは、広くメンバーを巻き込んでいる点が特徴的です。その中で、印象に残っている点やご苦労された点、そして施策が動き出したきっかけについて教えてください。
島野様最初は、女性活躍推進プロジェクトで議論したことを「すぐにでも始めるぞ」という感覚で次のDEIB推進プロジェクトに移行しました。しかし、分科会での議論がなかなか深まらず、細部の議論にとどまることもあり、思うように進まず焦った時期がありました。
津田様目に見える実績が積み上がらないと、分科会メンバー自身の成長や自信にはつながりにくいだろうと感じていました。
そこで、事務局がより積極的に分科会メンバーとの1on1を行ったり、分科会とのミーティングを頻繁に行いました。そこから各分科会が「自分たちは何に集中的に取り組むのか」を主体的に考え始め、アイデアが出てくるようになりました。非常に頼もしい変化でした。
島野様それに加えて、「中長期にはこういうことに取り組むが、一方で、この1年の短期にできることは何か」と各分科会に投げかけました。そこから「座談会をやろう」「研修をやろう」「残業時間を分析しよう」と、具体的な施策が次々と出てきました。プロジェクトが動き出した手応えがありました。
2025年度施策:「アンコンシャス・バイアス研修」で共通言語の形成
施策の中でも特に大きな節目となったのが、経営層・管理職・一般社員の階層別に実施した、心理的安全性/アンコンシャス・バイアス研修(wiwiw提供)でした。
取り組みの中で、印象に残っている成果はありますか。
今中様全社に最も大きな影響を与えたのは、研修だと感じています。階層別に実施いただき、「心理的安全性」「アンコンシャス・バイアス」「DEIB」という言葉が浸透するよい機会になりました。この流れを活かしながら、今後も施策を継続していけるきっかけをつくっていただけたのは大きいと感じます。
アンケートでも約90%が「意識変容を実感した」と回答しました。「自分もこういうことに気をつけようと思った」「意識が変わった」といった前向きな声が多く寄せられています。さらに、新しい考え方が入ったからこそ浮かび上がった課題もあり、その点でも新たな発見がありました。
島野様経営層からも、社員の意見を聞き入れる姿勢、自分自身が傾聴の姿勢を持つことが大事だ、という声が上がりました。
また、初めてグローバル同時で研修を実施できたことも印象的でした。これまで海外メンバーがオンラインで同時に参加し、同じ研修を受ける経験はなかったため、非常によい機会となりました。
経営層向け研修の様子
2025年度施策:多角的な施策実行と変化
研修以外にも、プロジェクトは多角的な施策を重ねていきました。目に見える形で施策を積み重ねることで、現場にも変化が生まれていきます。
今中様キャリア座談会は、高い満足度を得ることができました。これまで社内でキャリアについて相互に語り合う機会が少なかったのですが、実施してみると、思っていた以上に参加意欲の高い社員が多いとわかったのもプラスの発見でした。
<実施した施策の例>
- DEIB月間の実施
- 女性トイレへの生理用品設置
- 男性育休取得者へのアンケート
- キャリア座談会
- 働き方実態分析
- 労働時間の可視化
- 会議ルールの策定
DEIB推進月間を実施した際の社内用ポスター
<実施した成果の例>
- 研修受講率:80%以上、意識変容の実感:約90%
- 男性育休取得率:100%(2025年度)
- キャリア座談会の満足度:10点満点中8.6点
- 会議ルールの策定における「参加意識や集中力が向上した」の回答率:71.9%
今中様会話の中で「あ、これはアンコンシャス・バイアスだ」と気づける社員が増えたように感じます。そうした考え方が、自然とできるようになってきたのかなと思います。
社員一人ひとりがさまざまな事情を抱えていることを理解し、共有していくことが大切だと感じました。同時に、事情があるからといって機会を奪ってしまうことが最もよくないと実感しました。自分にとっての優しさが、相手にとっての優しさとは限らない等、気づきが数多くありました。
津田様さまざまな背景や事情があることに少しでも気を配ってコミュニケーションを取ることが、自分自身の成長や、より実りある人生にもつながっていく。少し壮大な話になりますが、「DEIBはそのきっかけの一つなのだ」ということを、一人でも多くの社員に広められたことが、このプロジェクトの大きな成果だったと感じています。
2024年から現在へと続くwiwiwの伴走支援で何が変わったか
本プロジェクトは、wiwiwのコンサルタントがパートナー・伴走者として支援させていただきました。
プロジェクトを進める中で、wiwiwの支援はどのような場面で役立ちましたか。
島野様取り組みを始めた当時は、コンサルティングと研修の両方を提供できること、ダイバーシティ領域の専門性、意識改革に強みを持つことを軸にパートナーを探していました。複数社ご提案いただく中で、体制や実績、そして「最終的には自走できる仕掛けづくり」をご提案いただけたことが決め手になりました。2年目に入り「DEIB推進プロジェクト」へ移行する際にコンサルティング依頼を継続したのも、前年度の確かな成果があったからこそです。
津田様DEIBの基本的な考え方や他社事例など、自社だけでは得られない情報を、さまざまな角度からインプットいただけたことがありがたかったです。困ったときには「wiwiwさんに聞いてみよう」と思える、頼れる存在になっていただいたと感じています。
八谷様振り返ってみると、自分自身が一番変わったと感じています。最初はまったく知識のない状態でしたが、今では「一人でも多くの人にDEIBの考え方を広めたい」という強い気持ちを持つようになりました。同様の変化が、プロジェクトメンバーの中にも広がっていることを実感しています。
定例会の様子
これからの課題は「広がり」と「現場への定着」
社内におけるDEIBの認知度は飛躍的に向上し、次の課題は活動のさらなる「広がり」と「現場への定着」だと、ショーワグローブ様は語ります。DEIBが当たり前の文化として根付き、社員ひとり一人が活き活きと活躍できる会社へ。その先にある持続的な成長を見据え、同社はこれからも歩みを止めることなく、変革を続けていきます。
今後の課題と期待について教えてください。
今中様DEIBという言葉や研修で得た内容は定着してきたと思いますが、理解の次の段階として、「実行」や「どう変えていくか」がこれからの課題になると考えています。インプットした知識も、時間が経つと薄れてしまう面があるので、継続的に取り組んでいきたいです。
島野様二期体制として、プロジェクトには新しいメンバーも加わりました。いずれはショーワグローブとして自走しながらDEIBを進めていけるよう、wiwiwには今後も伴走いただけるとありがたく思います。
上段左から:島野様、津田様、下段左から:今中様、八谷様


