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個人情報保護法と癌の告知


介護アドバイザーの角田です。

 

今から30年前、私の父は胃癌になり、胃の5分の4を切除しました。父には「胃潰瘍の手術だから心配いらないからね」と言って癌であることは告げませんでした。

後年、父は「私は胃癌だった。胃潰瘍なら薬で治せるから手術はしない」と言っていて、気付いていたんだなと思いました。

 

医師から聞いた話ですが、1980年代まで、患者本人にはほとんど癌とは言わなかったそうです。

癌=死というイメージが強く、癌と告げることは「あなたは死にます」ということになるので、言わないことが大切だと考えられていたようです。

 

父の場合も、医師が家族だけを呼んで「お父様は胃癌です。癌であることをご本人に伝えますか」と聞かれ、「いいえ、父は心配性なので伝えないでください」とお願いしたのですが、それが普通のことだったのですね。

 

その後、2000年くらいまで、癌であることを隠し切れない症例、例えば乳がんの手術を受ける人には告知するようになっていました。

しかし、命が短い、あるいは再発しやすい場合にはあまり言わなかったそうです。

 

それが、2005年に個人情報保護法が全面施行されて、がんの告知についても大きく変わりました。

医師は、まず本人に癌だと言わなければならなくなりました。

家族に言うときは、本人の了解を得ないといけなくなったのです。

 

それは、「医師等により行われた健康診断その他の検査の結果」は要配慮個人情報、つまり他人に公開されることで、本人が不当な差別や偏見などの不利益を被らないようにその取扱いに特に配慮すべき情報として扱われることになったからです。

要配慮個人情報の取得には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。

 

癌の検査と治療は日進月歩で進化しています。

日本では、科学的根拠に基づいて現時点で最も有効性が高い治療法のことを「標準治療」と呼んでいます。

欧米では「ゴールドスタンダード(黄金律)」と呼ぶそうで、こちらの方が期待できる気がしますね。 手術などの外科治療、放射線治療、抗がん剤などの化学療法のうち、どの治療法を選ぶか、あ

るいは組み合わせるかなど、本人と医師がタッグを組んで考える必要があります。

そのためには、本人が癌であることをしっかり受け止めなければなりません。

癌の告知は、治療のスタートであり、これからの生き方を見つめるのに必要なことだと思いました。

 

でも、知りたくない人もいますよね。

その場合は、医師に「癌だったら告知しないでください」とお願いしておけばいいのでしょうか。

ううん、どうなのかなあ。この件は宿題にさせていただきます。

 

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つのちゃん

介護家族のご相談をたくさん受けてきて、いろいろ学ばせていただきました。それを皆さんにお返ししたいなと思っています。

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