こんにちは。wiwiw介護支援アドバイザーの角田です。
9月21日は世界アルツハイマーデイですので、今月は認知症ケアについて取り上げます。
電話相談の7割は認知症に関する悩みです。
認知症になると大脳皮質の損傷により後天的に身に付けたことは失われますが、
感情をつかさどる脳の部分は守られているため、喜怒哀楽は豊かになるといわれます。
BPSD(行動心理症状)の一部は、自分が周りの人からどう見られているかを敏感に感じ取り、
それを訴えているのではないかと考えられています。
介護家族は、病気だとわかっていても、目の前で暴言を吐く人を冷静に受けとめられず、
つい声を荒げたり手を挙げてしまったりと、さらに悪循環に陥ってしまうことも少なくありません。
電話相談で何か助言ができないかと考え、8月に都内で開かれた認知症ケアの勉強会に参加しました。
そこで出合ったのが、フランスから来日されたイブ・ジネスト氏による“ユマニチュード”と呼ばれるケアメソッドです。
基本は、
①見つめること
②話しかけること
③触れること
④立つこと
の4つです。これらは、認知症の人に対して“人”として接するための方法です。
認知症の人と一緒に暮らす家族は、「心配でいつも見守っています」と言います。
しかし、認知症の人の様子を見ていても目を見つめているでしょうか。
「これはダメ、こうしなさい」としょっちゅう声をかけても、一緒に話そうとやさしく話しかけているでしょうか。
介助するときに腕をつかんではいませんか。それは警官が犯人を連行するときの触れ方だそうです。
時間をかければ歩ける人に、危険だからと寝かせきりにしたり車いすに頼ってはいないでしょうか。
病院のベッドに拘束されて怖い顔でいきり立っていた認知症の人に、
看護師が20センチくらいの距離に顔を近づけて目を見つめやさしく話しかけて、背中をそっとさすります。
ゆったりした時間が流れ、あなたのことを大切に思っていますよというメッセージが伝わると、
認知症の人は穏やかな顔になり、看護師と言葉を交わし、自分の足で歩き始めるという映像を見ました。
ユマニチュードは、赤ちゃんや恋人には自然にしていることです。
それを、認知症ケアとして構築した35年の重みを感じました。
そして、誰もが“人”として接してほしいと望んでおり、人との絆を結ぶための基本がここにあると気づきました。
このことを電話相談でも伝えていきたいと思っています。
この場を借りて、拙著を紹介させていただきます。
『介護家族を支える 電話相談ハンドブック 家族のこころの声を聴く60の相談事例』が
中央法規出版から9月に発売されました。
介護だけではなく人とのコミュニケーションを考える参考にしていただければ幸いです。
つのちゃん
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