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父が認知症になってホッとした


介護アドバイザーの角田です。

 

長谷川式認知症スケールを作成し、認知症を50年以上研究された長谷川和夫先生が11月13日、92歳で召天されました。
2020年1月の本コラム「認知症の第一人者が認知症になった」でご紹介しましたが、先生は2017年に認知症と診断され、それを公表していらっしゃいました。

 

10月28日、私は先生のご子息で精神科医の長谷川洋氏の講演をオンラインで受講し、心に温かいものが溢れ認知症について多くの学びを得ておりました。

そのことを今回のコラムで取り上げるつもりでおりましたが、先生がお亡くなりになったことをお知らせ
することになろうとは予想もしておりませんでした。

 

洋氏もコロナ下で先生になかなかお会いになれなかったことが心残りであったろうと思います。

 

先生は認知症と診断された後も、行きつけの喫茶店でコーヒーを飲むのを楽しみにしていました。

洋氏も時々一緒に行って、先生はブラックコーヒー、洋氏は甘いコーヒー、サンドイッチを召し上がり
ながら父子でいろいろなお話をされたそうです。

 

その会話の中から洋氏がお話ししてくださった先生の言葉を紹介します。

 

<桃太郎の話>
桃から生まれた桃太郎が鬼退治に行ってくれるのは桃の段階ではわからなかった。おばあさんはたまたま
桃を拾って、たまたま家に持ち帰ってくれた。たまたまうまくいった話なんだよ。たまたまを大事にしよう。

 

<仏様の話>

仏さんていうのは目を細めているだろう。仏さんが目をカッと見開いていたら仏さんだってイライラ
しちゃうんじゃないか。だから目を細めているんだよ。俺も目を細めているよ。
(同業者である息子さんに「お前違うよ」と言いたいことも目を細めてくれているような気がするそうです。)

 

<夏目漱石の話>

漱石の『こころ』を読んだんだよ。読んだ後の気持ちは前の俺と違う。確かに自分は変わった。
今の自分が一番新しい自分というか、一番若いんだから、今、成長しているんだ。

 

洋氏は、「父は(高齢者に多い)認知症になれるまでよく長生きしてくれたというのが実感です」

「50年認知症を研究した人でも認知症になるというのは、むしろホッとしている。誰でも認知症になると
言っていて、専門医はなっていないらしいぞというと何かあるんじゃないかと思われる」

「父は認知症になってからNHKの番組のために密着取材を受けたり、本を出版したり、講演もしている。
もともとやっていたことを認知症になってからもう一度できたこと、人の役に立てたことはすごく幸せな
ことではないか」と話していました。

 

洋氏の講演会ではチャットで質問を受け付け、一つだけ答えてくださいました。

なんとその質問は筆者が書いたものでした。

「医師として患者さんを診るのとお父様と接するのでは違うところはおありですか」

 

洋氏は、「父と接するときはリラックスしていて患者さんとしては接していないのでその点は違うと思う。父が同じ話をしたり少しずれている話をしたりしても、話すことは脳のリハビリになると思えるので、割と聞き流すことができる。認知症に対する知識があることは役立っているので、同じ対応をしていると思う」と答えてくださいました。

 

洋氏の講演は謙虚で優しい語り口と笑顔が素敵で、往年の先生の講演を思い起こしておりました。

 

長谷川先生の安らかなる眠りをお祈りいたします。

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つのちゃん

介護家族のご相談をたくさん受けてきて、いろいろ学ばせていただきました。それを皆さんにお返ししたいなと思っています。

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